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最優秀棋士に関する考察1


渡辺が11人目の最優秀棋士に

 2013年4月、全日程が終了した平成24年度に活躍した棋士を表彰する将棋大賞の選考が行われ、史上初の三冠王2人による争いとなった最優秀棋士賞(MVP)には、最後の直線で羽生善治(棋聖・王位・王座)を振り切った渡辺明(竜王・王将・棋王)が選ばれた。

今年で40回目となる将棋大賞だが最優秀棋士を受賞した棋士は過去11人しかいない。最優秀棋士となるためにはどのような成績が必要なのか検証した。



最多受賞は羽生善治の19回

【最優秀棋士 受賞者一覧①】           【各種受賞回数ランキング】

最優秀棋士 受賞者一覧① 各種受賞回数ランキング

※1977年は名人戦開催されず。
※「名人挑戦」はその年のA級順位戦優勝、「○○」は翌年に名人奪取



 将棋大賞は毎年4月、東京将棋記者会に所属する各新聞社の担当者が集まって協議、決定される。主な表彰は最多勝利、最多対局、最高勝率などだが、これらの受賞は最優秀棋士にどのような影響を与えるだろうか。

 

 過去40年分の受賞者の平均成績を算出すると対局数65局、45勝、勝率6割9分7厘となった。まず意外な勝率の低さが目につく。受賞者の内、最高勝率を同時に受賞しているのは5回で、達成しているのは羽生善治のみ。最優秀棋士はタイトル獲得者に有利な選考をされることが一般的とされており、また勝率を稼ぐのは若手同士の対局が多い低段の棋士が優位なので、タイトル戦(番勝負)を戦うトップ棋士には7割以下の勝率でも評価には十分ということだろう。

一方で最多対局賞との同時受賞者は16名、最多勝利賞の受賞者は18名と全体の4割を超えており、また全体の半分にあたる20名は三賞のうちいずれも受賞せずに最優秀棋士となっている。


 では必要とされるタイトル数はどれほどだろうか。
受賞者の「名人・竜王・王将・王位・王座・棋聖・棋王」の7大タイトルの獲得数平均は2.9、それ以外の一般棋戦の優勝数は1.4となっている。

「二冠王+棋戦優勝1」でも足りないというのはやはり厳しい条件である。

棋界最高位とされる名人での受賞者が10人と少ないのが意外だがこれは名人戦が6月に終了するため、翌年4月に投票が行われる将棋大賞にはインパクトが薄いということだろう。逆に3月に決定する翌年の名人挑戦者(=A級優勝)となった棋士の受賞者が10人いる。A級優勝は一般棋戦の優勝と同じくらいのインパクトがあると考えられる。

無冠で受賞したのは88年の羽生のみだが、この年の羽生は棋戦優勝が3。対局数、勝数、勝率の三冠受賞。さらに名人経験者4名を全て撃破してNHK杯で初優勝した年でもあり受賞も妥当だろう。







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