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将棋界とお金の話1 ~棋士の収入まとめ~



年間獲得賞金、渡辺明二冠が初の首位
羽生善治三冠は16年ぶりに首位陥落

 2013年の『年間獲得賞金・対局料ベスト10』が発表され、渡辺明二冠が初めて賞金王に輝き、羽生善治三冠は16年振りの首位陥落となった。トップの獲得額の1億超えは3年ぶり。

その一方で囲碁界では、関西棋院が賞金下位者の対局料半減を発表するなど苦しい財政状況が窺われ、これは”斜陽産業”と呼ばれて久しい将棋界も他人事ではない。
そこで普段はあまり話題に挙がらないトップ以外の棋士の収入と、そこから見える将棋連盟のふところ事情について考えてみる。

※本レポートで使われている数字は、下記「年間獲得賞金上位10名」については将棋連盟より公式発表されたものですが、それ以外のものについては推測に基づいて考えられたものがほとんどです。ご注意ください。

【年間獲得賞金上位10名(1989~2013)】

年間獲得賞金上位10名(1989~2013)



将棋界の構造について

 2014年現在、世界で唯一の将棋プロ団体である日本将棋連盟が認める「プロ棋士」は総勢163名。その内、名人を頂点とした上位132名が”順位戦”と呼ばれるリーグ戦に所属している。 毎年このリーグ戦によって「プロとしての順位」が明確に決定され、一定の成績を残せなければ降級も有りうるが、順位戦に残っていられる限り定年などの強制的な引退はない。

順位戦に所属する棋士には基本給として「順位戦の手当」が対局料・賞金とは別に支給される。
(※近年、将棋連盟の法人化に伴って制度改正が行われたため、現在は対局料に含まれている可能性もある)
上のクラスに行くほど金額も上がっていくが、それぞれの棋士の過去の実績や段位も加味されて決定するため一律ではない。

金額は名人が100万円/月 以上。トップリーグのA級で65万円(1994年時点)。
羽生・渡辺クラスなら70~80万円ほどと言われている。
新人が最初に所属する一番下のC級2組が月16~17万円。基本給だけで生活するには少々厳しい金額と言える。実際には基本給のほかに様々な棋戦に参加するためその対局料や賞金を含めれば新人でも年収は300~400万円程度になるという。




【順位戦の構造】

順位戦の構造




収入1000万円超えは上位20名前後だが・・・

 以上のことを踏まえて上記の年間獲得賞金上位10名の表を見ると、(当然なのだが)そのほとんどがA級棋士であることが分かる。C級2組所属でトップ10入りしたのは過去25年間で僅か2人だけ(92年:郷田、93年:深浦)で、そのほかC級1組でランク入りした若手棋士達も全てその年のタイトル戦の優勝(獲得)、もしくは準優勝(挑戦失敗)するなど抜群の成績を残している。逆に言えばタイトル戦1つでも年収1000万超えは決して不可能ではないということになる。

それ以外では2003年の中原誠(17世名人)がその年の勝率5割ながら竜王戦では挑戦者決定戦まで進出し、順位戦に所属しないフリークラスで唯一のランキング入りを果たしている。これは「過去の実績、段位などを加味して決定された対局料」の影響も大きいと考えられる。


一見すると上位10名は平均して2000万円程度を安定して獲得出来ているため、全体としても増減はあまりないように思われるが、獲得合計金額をグラフにしてみると「上位20名の合計金額」は2007年をピークにかなりの右肩下がりとなっていることが分かる。
※2012年以降は11位以下の金額は非公開



【獲得合計金額の推移】

獲得合計金額の推移

 連盟の収入の大半は新聞社などからのスポンサー収入となっているが、過去20年間で収入はほとんど増えていないのが現状である。2011年には故・米長前会長のもと黒字化は達成したものの、今後も経営が楽になるとは考えにくい。棋士の収入も上位は華やかだが下位者はかなり苦しくなっていくことが予想される。







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