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将棋連盟、歴代会長まとめ


戦後に会長職を務めたのはのべ15人

 2012年12月、谷川浩司九段が戦後15人目となる日本将棋連盟会長に就任した。将棋連盟理事会は任期2年、連盟正会員(=棋士)による投票によって決定される。50歳と比較的若くして会長となった谷川九段と過去の会長達を調べてみた。

【将棋連盟歴代会長】

将棋連盟歴代会長

最長は7期続いた大山政権と二上政権

 谷川新会長を除くと会長職に就いた棋士は12名、内2名が2度勤めている。就任期間は平均すると2期4年。我の強い棋士達を束ねる仕事は想像以上に重労働ということだろうか。近年では大山、二上、米長氏の3名の長期政権が目につく。それぞれの政治力、影響力、信用の高さの証明だろう。就任時の平均年齢は51.8歳ということで、50歳の谷川九段の会長就任はむしろ自然な流れに見える。最年少は原田泰夫氏の38歳だが1970年代以降は40代の就任者すら現れていない。このあたりが組織の成長から安定への転換期、また巨大化した組織の運営に対して様々な能力が必要になったのではないかと推測される。



A級は絶対条件

 米長前会長が引退後の就任だったため、会長職は引退棋士が務めるのが当然のような気がしていたが、意外にも引退棋士は2名のみ。もう一人の引退棋士である加藤治郎氏はA級リーグ陥落を機に30代で現役を引退。記者に転身した経歴の持ち主である。現役時代の成績を見ると全員がA級を経験している一流の棋士ばかりであり、勝利こそが至上命題であるプロ棋士をまとめ上げるためにはやはり絶対的な強さが必要なことを証明している。経営力やバランス感覚よりも会員を従わせるカリスマ性が重要という点では、相撲やプロレス界によく似ているのではないだろうか。それを裏付けるようにして現会長より上の世代の永世名人および永世称号資格保持者は全員が会長になっている。50代以下の世代では羽生善治、森内俊之、佐藤康光、渡辺明の4名が永世称号を所持しているが、全員が会長を務める時期がいつの日か来るのだろうか。


 もっとも選挙が行われる以上強いだけでも会長にはなれない。棋士の絶対数が少ない関西出身の会長がわずか3名ということがこれを証明している。近年は関西の若手の台頭が著しいが将来この勢力図がどう変わるか興味が尽きない。また棋士の考え方の変化も重要な要素となる。


 谷川会長は『棋士は「芸術家」「研究者」「勝負師」の三つの側面を持つ』と著書で書かれているが、米長前会長の時代、棋士の中で大きなウェイトを占めたのは「勝負師」の側面だっただろう。谷川会長はイメージとしては「芸術家」の匂いが強く、またそれを見事に体現してみせたことであらゆる世代から高評価を受けている。


 これらと比べると羽生世代以降は明らかに「研究者」のウェイトが大きい。華やかな勝負よりも合理的な真理を追求する(ように見える)姿は上の世代とははっきり一線を画している。彼らが連盟の中核に座った時どのような変化が訪れるのか、楽しみである。2013年はプロが対コンピュータ戦で負け越すなど波乱の幕開けとなり、新政権にとっては前途洋々というわけにはいかないが、将棋同様、新会長の切れ味鋭い舵取りに期待したいと思う。







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